2025年4月、大阪・関西万博の会場で公開された子供用トイレが、「仕切りなし」「壁がない」という斬新なデザインであることがSNSで大きな話題となりました。
本記事では、大阪万博の子供用トイレの「仕切りなし」デザインの特徴と、その設計意図について詳しく解説します。さらに、このデザインがもたらす影響や、親や利用者からの懸念の声についても考察し、より良いトイレ環境の在り方について探っていきます。
万博の子供用トイレとは?仕切りなしのデザインの特徴

大阪・関西万博2025の子供用トイレには、「仕切りなし」というユニークなデザインが採用されています。この設計は、保護者が子供の排泄をサポートしやすくするための配慮から生まれました。特に、東西ゲートの「迷子・ベビーセンター」に隣接するトイレがその代表例です。
仕切りなしのデザインとは?
このトイレでは、複数の便器が横並びに設置されており、間に壁やパーテーションなどの仕切りがほとんどありません。一部にプラスチック製の簡易的な仕切りがあるものの、室内からはほぼ丸見えの状態です。また、男女別の区別もなく、年齢や性別を問わず利用できる設計となっています。主に0~2歳児の利用を想定し、保護者が付き添って介助しやすいように設計されています。
仕切りなしを選択した理由とは?
一般的な公共施設の子供用トイレでは、便器ごとに仕切りが設けられており、プライバシーが確保されています。しかし、大阪万博の子供用トイレは、保護者が子供を見守りやすく、介助しやすいようにあえて仕切りを設けない設計となっています。このようなデザインは、保育園などの現場では一般的であり、子供同士が排泄行為を見ながら学び合う発達的な意味合いもあるとされています。
このように、大阪万博の子供用トイレは、保護者の介助のしやすさを重視した「仕切りなし」のデザインが特徴です。他の施設と比較しても、子供の発達を考慮したユニークな設計となっています。今後、利用者の声や現場の実情を踏まえた改良が期待されます。
ここまでの内容を一度、表にまとめ整理します。
次章から、仕切りなしがもたらす影響と懸念について深掘りして解説します。
※仕切りなし子供用トイレの特徴まとめ
構造 | 便器が横並び、仕切りや壁がほぼない |
利用対象 | 0~2歳児(介助前提)、男女共用 |
設計意図 | 保護者の介助しやすさ、安全確保 |
賛成意見 | 見守りやすい、迷子防止、介助しやすい |
反対意見 | プライバシー不足、安全・防犯・感染症懸念 |
設置場所 | 会場内の一部(東西ゲート付近の2カ所) |

子供用トイレの仕切りなしがもたらす影響と懸念
大阪・関西万博2025における子供用トイレの「仕切りなし」デザインは、保護者や利用者から多くの懸念を呼んでいます。この設計は、子供のプライバシーや安全性に対する新たな課題を浮き彫りにしています。
子供のプライバシーと心理的影響
仕切りなしのトイレでは、子供が他人に排泄行為を見られる可能性が高まります。これにより、子供自身が羞恥心や不快感を感じ、トイレを避けるようになる恐れがあります。特に、0~2歳の子供は自己意識が発達途上にあり、他者の視線に敏感になることがあります。
また、他者の視線を意識することで、トイレ自体を我慢してしまうなど、心身に悪影響を及ぼす懸念もあります。このような心理的負担は、子供の成長過程において重要な影響を与える可能性があります。
親や利用者からの懸念の声
親や利用者からは、以下のような懸念の声が寄せられています。
- 防犯・安全面のリスク: 不特定多数が利用する万博のような公共空間では、盗撮や覗き見といった悪意ある行動のリスクが高まります。
- 性別配慮の不足: 男女共用かつ仕切りなしのため、異性の保護者と子供の利用時に配慮が足りず、利用しづらい・不安を感じるケースが想定されます。
- 感染症リスク: 密集・接近状態での排泄は感染症リスクの増加にもつながり、現代の公共トイレ設計基準からも課題があります。
- 子供の尊厳の問題: 子供にもプライバシーや人権意識が芽生えており、それを軽視した設計は「子供の尊厳を損なう」との指摘もあります。
これらの懸念は、保護者や利用者が安心してトイレを利用できる環境を提供するために重要な視点です。
保育園との違い
保育園では、信頼関係のある大人と子供同士、かつ管理された環境で仕切りなしトイレが運用されていますが、万博のような不特定多数が集まる場では同じ運用は極めてリスキーです。万博の会場は、多くの来場者が集まり、予期しない状況が発生する可能性があります。そのため、子供用トイレの設計には、より慎重な配慮が求められます。
まとめ:「仕切りなし」デザインが示す課題と今後の展望
大阪・関西万博2025の会場で導入された「仕切りなし」の子供用トイレは、保護者や利用者から多くの注目と懸念を集めています。このデザインは、保育現場での「介助のしやすさ」を重視した設計ですが、万博のような多くの人が集まる公共の場では、プライバシーや安全性への配慮が不足しているとの指摘が多く寄せられています。
特に、子供が他者の視線を意識することで心理的負担を感じたり、親が子供を見守りにくいといった問題が浮き彫りになっています。また、男女共用の設計や感染症リスクの増加など、公共施設としての安全性や衛生面への懸念も挙げられています。
今後は、子供のプライバシーや安全を最優先に考えたトイレ設計が求められます。保護者や利用者の声を反映し、より配慮ある設計が進むことで、万博がより多くの人々にとって安心して楽しめる場所となることが期待されます。